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「免疫力アップ」と書けない理由。薬機法と健康食品の表現規制を解説

健康食品で「免疫力アップ」と表示できない法的根拠を解説。薬機法・景品表示法の規制内容と、消費者が誇大広告を見抜くためのポイントを紹介します。

公開: 2026-05-05更新: 2026/5/5
「免疫力アップ」と書けない理由。薬機法と健康食品の表現規制を解説

はじめに

ドラッグストアやネット通販で健康食品を探していると、「免疫力アップ」「免疫機能を高める」といった表現を目にすることがあります。特に感染症への不安が高まる時期には、こうした表現に惹かれる消費者も少なくありません。

しかし、実はこの「免疫力アップ」という表現、健康食品では原則として使用できません。なぜ使えないのか、その法的根拠と消費者が知っておくべきポイントを解説します。


健康食品は「医薬品」ではない

まず前提として、健康食品と医薬品の違いを理解する必要があります。

医薬品と健康食品の定義の違い

医薬品は、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)第2条第1項で「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物」と定義されています。厚生労働大臣の承認を受け、有効性と安全性が確認されたものだけが「医薬品」として販売できます。

一方、健康食品には法律上の明確な定義がありません。一般的には「健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの」を指しますが、あくまで「食品」のカテゴリーに属します。

<div class="callout-warn"> <div class="callout-title">重要なポイント</div>

健康食品は「食品」であるため、医薬品のような効能効果を表示・広告することは原則として認められていません。これは消費者を誤認させないための規制です。

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「免疫力アップ」が使えない法的根拠

薬機法第68条による規制

薬機法第68条は、医薬品等の誇大広告を禁止しています。さらに重要なのは、医薬品でないものについて医薬品的な効能効果を標榜することも規制対象になる点です。

具体的には、食品に対して以下のような表現を使用すると、その食品が「無承認無許可医薬品」とみなされる可能性があります。

  • 疾病の治療・予防を目的とする効能効果の標榜
  • 身体の組織機能の増強・増進を目的とする効能効果の標榜

「免疫力アップ」「免疫機能を高める」という表現は、身体の組織機能の増強を標榜するものとして、医薬品的な効能効果に該当すると判断されます。

厚生労働省の通知による具体的な基準

厚生労働省は「医薬品の範囲に関する基準について」(昭和46年薬発第476号)という通知で、食品と医薬品の区分基準を示しています。この通知では、以下のような効能効果を標榜すると医薬品とみなされるとしています。

  • 疾病の治療又は予防を目的とする効能効果
  • 身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効能効果

「免疫力」は身体の防御機能であり、その「アップ」や「強化」を謳うことは、身体の組織機能の増強に該当します。


景品表示法による規制も

薬機法だけでなく、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)による規制も存在します。

景品表示法第5条第1号は「優良誤認表示」を禁止しています。これは、商品の品質や効果について、実際よりも著しく優良であると消費者に誤認させる表示を禁止するものです。

科学的根拠なく「免疫力アップ」と表示することは、消費者に対して実際には得られない効果を期待させる優良誤認表示に該当する可能性があります。

消費者庁による措置命令の実例

消費者庁は、健康食品の不当表示に対して多くの措置命令を出しています。

2020年以降、新型コロナウイルス感染症に関連して「ウイルス対策」「免疫力向上」などを標榜した健康食品に対し、消費者庁は複数回にわたって注意喚起を行いました。また、景品表示法に基づく措置命令も複数出されています。

2020年3月には、消費者庁が「新型コロナウイルスに対する予防効果を標榜する健康食品の表示に関する改善要請」を行い、41事業者42商品に対して改善を求めました。

<div class="callout-tip"> <div class="callout-title">消費者庁の監視体制</div>

消費者庁は「インターネット消費者取引連絡会」などを通じて、ネット広告の監視を強化しています。不当表示を発見した場合は措置命令や課徴金納付命令の対象となります。

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例外的に機能性を表示できる食品

健康食品のすべてが機能性表示を禁止されているわけではありません。一定の要件を満たした食品は、限定的な機能性表示が認められています。

特定保健用食品(トクホ)

消費者庁長官の許可を受けた食品で、科学的根拠に基づいた保健機能の表示が可能です。ただし、「免疫力アップ」のような表現は、トクホでも認められていません。

機能性表示食品

事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示できる制度です。消費者庁に届け出ることで、特定の機能性を表示できますが、こちらも「免疫力アップ」という表現は認められていません。

機能性表示食品で認められている表現は、例えば「本品には○○が含まれます。○○には△△の機能があることが報告されています」というように、成分と機能の関係を客観的に述べる形式に限られます。

栄養機能食品

国が定めた規格基準に適合した食品で、ビタミンやミネラルなどの栄養成分の機能を表示できます。こちらも「免疫力アップ」という表現は認められていません。


消費者が注意すべき「グレーゾーン」表現

法規制を意識した事業者は、直接的な表現を避けて「グレーゾーン」の表現を使用することがあります。消費者として注意すべき表現パターンを紹介します。

注意すべき表現例

  • 「健康維持をサポート」「毎日の元気に」→ 曖昧な表現で効能効果を暗示
  • 「○○の季節に」「環境の変化が気になる方へ」→ 特定の疾病を暗示
  • 「医師も推奨」「○○大学研究」→ 科学的裏付けがあるかのような印象操作
  • 体験談や個人の感想→ 効能効果を間接的に伝える手法

これらの表現自体が直ちに違法というわけではありませんが、消費者に過度な期待を抱かせる可能性があります。

<div class="callout-warn"> <div class="callout-title">体験談・口コミへの注意</div>

広告に掲載される体験談は、効能効果を暗示するために使用されることがあります。「個人の感想です」という注記があっても、全体として誤認を招く場合は違法となる可能性があります。

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消費者として身を守るためのポイント

1. 科学的根拠を確認する

機能性表示食品であれば、消費者庁のウェブサイトで届出内容を確認できます。どのような科学的根拠に基づいているのか、どのような条件で効果が期待できるのかを確認しましょう。

2. 「治る」「予防できる」は疑う

健康食品で疾病の治療・予防効果を謳っている場合は、薬機法違反の可能性が高いです。そのような商品は避けるべきでしょう。

3. 極端な効果を謳う商品は避ける

「これだけで免疫力が劇的にアップ」「飲むだけで健康に」といった極端な効果を謳う商品は、科学的根拠に乏しい可能性が高いです。

4. 困ったら消費者ホットラインへ

健康食品の購入でトラブルに遭った場合、または怪しい広告を見つけた場合は、消費者ホットライン「188」(いやや) に電話することで、最寄りの消費生活センターにつながります。専門の相談員が対応してくれます。


まとめ

「免疫力アップ」という表現は、一見すると健康に良さそうな印象を与えますが、健康食品では原則として使用できない表現です。その理由は以下の通りです。

  1. 薬機法による規制:身体の組織機能の増強を標榜することは、医薬品的な効能効果の標榜に該当し、食品では認められない
  2. 景品表示法による規制:科学的根拠なく効果を標榜することは、優良誤認表示として禁止されている
  3. 消費者保護の観点:効果が証明されていない商品に対して過度な期待を抱かせることを防ぐため

消費者として、健康食品の広告表現に惑わされず、科学的根拠に基づいた情報を参考にすることが重要です。もし不審な広告を見かけたり、購入後にトラブルに遭った場合は、消費者ホットライン「188」に相談することをお勧めします。


免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律相談や医療相談の代替となるものではありません。個別の事案については、弁護士や医療専門家にご相談ください。


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