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防風通聖散・大柴胡湯・防己黄耆湯の違いとは?肥満に使われる漢方薬の選び方ガイド

肥満改善に用いられる代表的な漢方薬3種類の特徴と選び方を解説。体質や症状に合った漢方薬を正しく選ぶためのポイントを薬剤師がわかりやすく紹介します。

公開: 2026-09-05更新: 2026/9/6

はじめに:漢方薬で肥満にアプローチする考え方

ドラッグストアの漢方薬コーナーで「肥満」「内臓脂肪」といった文字を目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。漢方薬は体質改善を通じて肥満にアプローチする選択肢の一つとして、市販薬(OTC医薬品)でも広く販売されています。

しかし、同じ「肥満」に効果があるとされる漢方薬でも、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)大柴胡湯(だいさいことう)防己黄耆湯(ぼういおうぎとう) の3種類は、それぞれ適した体質や症状が大きく異なります。自分に合わない漢方薬を選んでしまうと、効果が感じられないばかりか、体調を崩す原因になることもあります。

この記事では、これら3つの漢方薬の違いを詳しく解説し、自分に合った漢方薬を選ぶためのポイントを紹介します。

💡 漢方薬選びの基本

漢方では「同じ病気でも体質によって使う薬が違う」という考え方をします。肥満に使う漢方薬も例外ではなく、体格・体力・症状の出方によって最適な処方が異なります。

3つの漢方薬の基本情報

まずは、3種類の漢方薬の基本的な特徴を表で比較してみましょう。

漢方薬名適した体質主な効能代表的な市販薬
防風通聖散体力充実・お腹が出ている肥満症・便秘・高血圧に伴う症状ナイシトール・コッコアポEX
大柴胡湯体力充実・がっちり体型肥満症・常習便秘・高血圧に伴う症状ビスラットゴールド
防己黄耆湯体力中等度以下・水太り肥満症・むくみ・多汗症コッコアポL・漢方防己黄耆湯

このように、同じ「肥満症」への効能を持ちながら、適した体質が全く異なることがわかります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

防風通聖散:お腹周りの脂肪が気になる「固太り」タイプに

特徴と適した体質

防風通聖散は、肥満に使われる漢方薬の中で最も知名度が高い処方です。18種類の生薬で構成され、体内の余分な熱を冷まし、便通を改善することで代謝を促進する働きがあります。

適している方の特徴:

  • 体力が充実している
  • お腹が出ていて、皮下脂肪が多い
  • 便秘がちである
  • 暑がりで汗をかきやすい
  • 脂っこい食事や味の濃い食事を好む

期待できる効果

防風通聖散には発汗・利尿・便通改善の作用があり、体内に溜まった老廃物を排出することで肥満症の改善を目指します。特に、便秘を伴う肥満の方に適しています。

⚠️ 防風通聖散の注意点

下剤成分(大黄・芒硝)が含まれているため、もともとお腹がゆるい方や下痢をしやすい方には向きません。また、体力が低下している方が服用すると、胃腸障害を起こす可能性があります。

服用上の注意

防風通聖散に含まれる麻黄(まおう) には、エフェドリン類が含まれています。心臓病・高血圧・甲状腺機能障害などの持病がある方は、服用前に必ず医師や薬剤師に相談してください。また、他の風邪薬や鎮咳薬との併用にも注意が必要です。

大柴胡湯:ストレス太り・がっちり体型の方に

特徴と適した体質

大柴胡湯は、体力が充実していてがっちりとした体格の方に適した漢方薬です。特に、ストレスを感じやすく、イライラしがちな方に向いています。

適している方の特徴:

  • 体力が充実している
  • 筋肉質でがっちりした体格
  • 肋骨の下あたりが張って苦しい(胸脇苦満)
  • ストレスを感じやすく、イライラしやすい
  • 便秘がちである

防風通聖散との違い

防風通聖散と大柴胡湯は、どちらも「体力充実」タイプに使われますが、以下のような違いがあります。

比較項目防風通聖散大柴胡湯
体型の特徴お腹が出ている・皮下脂肪型がっちり・筋肉質
精神面の特徴特になしストレス・イライラ
お腹の状態全体的に膨満肋骨下が張る
主な作用発汗・利尿・便通改善気の巡り改善・便通改善

大柴胡湯は、ストレスによって「気(き)」の巡りが悪くなり、それが肥満につながっていると考えられるケースに適しています。

服用上の注意

大柴胡湯にも下剤成分である大黄が含まれています。軟便傾向の方や、妊娠中の方は服用を避けてください。また、肝機能に影響を与える可能性があるため、肝臓病の治療中の方は医師に相談が必要です。

防己黄耆湯:むくみやすい「水太り」タイプに

特徴と適した体質

防己黄耆湯は、前述の2つとは全く異なる体質の方に適した漢方薬です。体力が中等度以下で、水分代謝が悪く、むくみやすい「水太り」タイプに向いています。

適している方の特徴:

  • 体力が中等度以下
  • 疲れやすい
  • 汗をかきやすい(特に上半身)
  • 足がむくみやすい
  • 色白で筋肉が柔らかい
  • 関節に水が溜まりやすい

期待できる効果

防己黄耆湯は、体内の余分な水分を排出し、水分代謝を改善する働きがあります。利尿作用により、むくみを軽減しながら体重減少を目指します。

💡 防己黄耆湯が向いている方

「水を飲んでも太る気がする」「夕方になると足がパンパンにむくむ」という方は、水分代謝の低下が肥満の原因かもしれません。このような方には防己黄耆湯が適している可能性があります。

他の2つとの大きな違い

防己黄耆湯には下剤成分が含まれていないため、便秘がない方やお腹がゆるい方でも服用できます。また、体力が低下している方にも使える点が、防風通聖散や大柴胡湯との大きな違いです。

体質チェック:自分に合う漢方薬を見つけよう

以下のチェックリストで、自分の体質に近いものを確認してみましょう。

防風通聖散が向いている可能性が高い方

  • 体力には自信がある
  • お腹がぽっこり出ている
  • 便秘がちで、出てもすっきりしない
  • 暑がりで、冷たいものを好む
  • 食欲旺盛で、食べ過ぎることが多い

大柴胡湯が向いている可能性が高い方

  • 体力には自信がある
  • がっちりした体格である
  • ストレスを感じるとつい食べてしまう
  • 肩こりや頭痛がある
  • 肋骨の下を押すと張りや痛みを感じる

防己黄耆湯が向いている可能性が高い方

  • どちらかというと疲れやすい
  • 色白で、筋肉は柔らかめ
  • むくみやすい(特に下半身)
  • 少し動くと汗をかく
  • 雨の日や湿気の多い日は体調が悪い

🚨 自己判断の限界

漢方薬の選択には専門的な知識が必要です。チェックリストはあくまで目安であり、実際の服用前には薬剤師や登録販売者に相談することを強くお勧めします。持病がある方や他の薬を服用中の方は、必ず専門家に確認してください。

漢方薬を安全に使うための注意点

副作用に注意する

漢方薬は「自然由来だから安全」というイメージがありますが、医薬品である以上、副作用のリスクがあります。特に注意が必要な副作用は以下の通りです。

漢方薬主な副作用
防風通聖散下痢・腹痛・動悸・発汗過多・肝機能障害
大柴胡湯下痢・腹痛・食欲不振・肝機能障害
防己黄耆湯胃部不快感・食欲不振・間質性肺炎(まれ)

服用期間の目安

市販の漢方薬を1ヶ月程度服用しても効果が感じられない場合は、体質に合っていない可能性があります。漫然と服用を続けず、医師や薬剤師に相談しましょう。

併用に注意が必要な薬

特に防風通聖散は、以下の成分との併用に注意が必要です。

  • エフェドリン含有薬(風邪薬・鎮咳薬など):動悸・血圧上昇のリスク
  • 甘草含有薬(他の漢方薬・胃腸薬など):偽アルドステロン症のリスク
  • 下剤:下痢・腹痛の悪化

漢方薬だけに頼らない肥満対策を

漢方薬は体質改善を助けるものですが、肥満の根本的な解決には生活習慣の見直しが欠かせません。バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけながら、漢方薬をサポート役として活用することが大切です。

また、BMI35以上の高度肥満や、糖尿病・高血圧などの合併症がある場合は、市販薬での対応ではなく、医療機関を受診することをお勧めします。

まとめ

肥満に用いられる3つの漢方薬は、それぞれ適した体質が異なります。

  • 防風通聖散:体力充実・お腹が出ている・便秘がちな方
  • 大柴胡湯:体力充実・がっちり体型・ストレスを感じやすい方
  • 防己黄耆湯:体力中等度以下・むくみやすい・疲れやすい方

自分の体質に合った漢方薬を選ぶことで、より効果的に肥満改善を目指すことができます。選び方に迷った場合は、ドラッグストアの薬剤師や登録販売者に相談してみてください。

この記事は医療行為や診断の代替となるものではありません。症状が重い場合や改善が見られない場合は、医療機関を受診してください。


出典:

  • 厚生労働省「一般用漢方製剤承認基準」
  • 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「一般用医薬品添付文書情報」
  • 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル」