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アフィリエイト広告の景表法違反、責任を負うのは誰か──広告主・ASP・サイト運営者の境界線

アフィリエイト広告の誇大表現、責任を負うのは書いた人?広告主?2024年消費者庁の運用指針改正と措置命令事例から、責任の所在を解きほぐす。

公開: 2026-06-04更新: 2026/6/4
アフィリエイト広告の景表法違反、責任を負うのは誰か──広告主・ASP・サイト運営者の境界線

「このサプリ、3週間で-8kg!」——ブログの体験談を読み、リンクをクリックして購入した。

ところが届いた商品の箱には、そんな効果は一言も書いていない。「話が違う」と販売会社に問い合わせると、こう返ってきた。「あれはアフィリエイターが個人の感想で書いたもので、当社は関知していません」。

この言い分は——通用しない。

結論を先に:広告主が責任を負う

2024年現在、アフィリエイト広告に書かれた虚偽・誇大表現の景表法上の責任は、原則として広告主(商品を販売する事業者)が負う。アフィリエイターが勝手に書いたから知らない、という主張は基本的に認められない。

なぜそうなったのか。経緯を追っていく。

過去:野放しだった時代から規制強化への流れ

2010年代前半:グレーゾーンの拡大

アフィリエイト広告が急成長した2010年代、ブログやレビューサイトに「飲んだら劇的に変わった」「医者も驚いた」といった表現が氾濫した。当時は「書いたのはアフィリエイター個人」「広告主は内容を把握していない」という建前で、誰が責任を負うのかが曖昧だった。

2016年:健康食品事案で初の本格摘発

消費者庁は2016年前後から、健康食品の広告表現について複数の措置命令を出すようになる。ただしこの時期は、まだアフィリエイト広告そのものを正面から問題視する事例は少なかった。

2021年:検討会の設置

消費者庁は2021年6月、「アフィリエイト広告等に関する検討会」を立ち上げた。当時、PIO-NETに寄せられたインターネット通販に関する相談は年間20万件を超え、その中にアフィリエイト経由の誤認購入が多数含まれていた。

2022年6月:運用基準の改定

検討会の報告書を受け、消費者庁は景品表示法の運用基準を改定。**「広告主は、アフィリエイト広告の表示内容についても景品表示法上の責任を負う」**ことが明確化された。

2023年10月:ステマ規制の施行

景品表示法第5条第3号に基づく告示が施行。広告であることを隠した表示(いわゆるステマ)が違法となった。アフィリエイト広告も、「PR」「広告」の表示なしに口コミ風で掲載すれば違反の対象となる。

現在:法的根拠を条文で確認する

景品表示法第5条は、優良誤認表示と有利誤認表示を禁じている。

第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。 一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、(中略)著しく優良であると示し(中略)不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示

つまり——「実際よりすごく見せる広告」を禁止する条文だ。

ここでポイントは「事業者」が誰を指すかである。消費者庁の「アフィリエイト広告等に関する指針」(2022年)では、こう整理されている。

アフィリエイト広告であっても、当該広告に表示される内容を決定することができる事業者(=広告主)は、景品表示法上の「表示をした事業者」に該当する。

書いたのがアフィリエイターでも、その記事のリンク先で商品を売っている広告主が「表示主体」とみなされる、ということだ。

<div class="callout-tip"> <div class="callout-title">ざっくり言えば</div>

「自分は書いてない」では逃げられない。広告主には、提携先のアフィリエイト記事の表現をチェックし、不適切な表現を是正させる管理責任がある。

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典型的な違反パターン3つ

パターン①:体験談の捏造・誇張

「半年で15kg減量に成功!」「シミが3日で消えた」——アフィリエイト記事に並ぶ劇的な体験談。多くは実際の使用結果ではなく、報酬目当てに盛られた創作である。

景表法上、裏付けとなる合理的根拠のない効果表示は優良誤認表示にあたる。広告主が記事内容を黙認していれば、広告主自身が措置命令の対象となる。

パターン②:比較サイトを装ったランキング

「サプリ徹底比較ランキング1位!」と謳いながら、実は1位の商品からのみ高額報酬を受け取っている——これは過去にも複数の措置命令が出ている類型だ。

中立を装った推奨表示は、優良誤認表示に加えてステマ規制違反にも該当しうる。

パターン③:医薬品的効能の暗示

「飲み続けたら血糖値が安定」「関節の痛みが消えた」など、健康食品では言ってはいけない医薬品的効能を、アフィリエイターの体験談として表現する手口。

この場合、景表法だけでなく薬機法第68条(承認前医薬品の広告禁止)違反も同時に成立しうる。

<div class="callout-warn"> <div class="callout-title">「個人の感想です」では消えない責任</div>

注釈で逃げ切れる、という発想は古い。消費者庁は「打消し表示が小さい・不明瞭であれば、本文の印象が表示全体の印象となる」と一貫して示している。

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責任の所在を整理する

関係者役割景表法上の責任
広告主商品を販売する事業者原則として責任を負う(措置命令・課徴金の対象)
ASP(アフィリエイトサービスプロバイダ)広告主とアフィリエイターを仲介直接の法的責任は限定的だが、業界自主規制で管理責任あり
アフィリエイター記事を書く個人・法人景表法上の直接的な行政処分対象になることは少ないが、ステマ規制違反の幇助、薬機法違反、不法行為責任は問われうる
媒体運営者記事を掲載するメディア編集権を持つ場合は「表示主体」として責任を負う可能性

「じゃあアフィリエイターは何をやっても無罪なのか?」——そうではない。民事上の損害賠償請求や、悪質な場合は薬機法違反による刑事罰の対象になる。

将来の見通し:管理責任のさらなる強化

2023年の景表法改正で、悪質な違反には確約手続の導入と直罰規定の追加が盛り込まれた(2024年10月施行)。今後、広告主の「知らなかった」は通用しにくくなる。

さらに、AI生成記事を使ったアフィリエイト広告も急増している。誰が書いたか不明な記事でも、リンク先の広告主が責任を負う構造は変わらない——むしろ強化される方向だ。

消費者として今できること

Step 1:記事の正体を疑う

「PR」「広告」「アフィリエイトリンクを含む」の表示があるか、ページの上部・下部をスクロールして確認する。表示がなければステマ規制違反の疑いがある。

Step 2:体験談の数字を鵜呑みにしない

「3週間で-8kg」のような具体的数字ほど、出典・撮影条件・期間の明示を確認する。書かれていなければ根拠なしと考えてよい。

Step 3:被害に遭ったら通報・相談する

誇大広告を信じて購入し、効果がなかった・健康被害が出た場合は、以下の窓口に連絡する。

窓口連絡先用途
消費者ホットライン188(いやや)最寄りの消費生活センターに繋がる総合窓口
消費者庁 景品表示法違反被疑情報提供フォーム消費者庁サイト違反疑い表示を直接通報
厚生労働省・都道府県薬務課各自治体窓口健康食品の薬機法違反疑い

通報のとき、URL・スクリーンショット・購入日時を揃えておくと処理が早い。

<div class="callout-tip"> <div class="callout-title">一人の通報が処分につながる</div>

消費者庁の措置命令の多くは、消費者からの情報提供がきっかけとなっている。「自分一人が言っても」と諦めない。

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締めに——「書いた人」より「売った人」を見る

アフィリエイト記事を読むとき、書いた人の肩書きや顔写真に目を奪われがちだ。だが本当に責任を負うのは、その先で商品を売っている広告主である。

華やかな体験談の向こう側に、誰がいて、誰が儲かる仕組みになっているのか——その視点を持つだけで、騙される確率は確実に下がる。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法律相談・医療相談の代替にはならない。具体的なトラブルは消費生活センター(188)や弁護士への相談を推奨する。

出典

  • 景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)第5条 https://elaws.e-gov.go.jp/
  • 消費者庁「アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書」(2022年2月) https://www.caa.go.jp/
  • 消費者庁「アフィリエイト広告等に関する指針」(2022年6月)
  • 消費者庁「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」告示(2023年10月施行)
  • 国民生活センター PIO-NET相談データ集計 https://www.kokusen.go.jp/
  • 薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)第68条
  • 消費者庁 景品表示法違反被疑情報提供フォーム https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/