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機能性表示食品の届出撤回事例から見える問題──消費者が知っておくべきリスク

機能性表示食品の届出撤回が相次ぐ背景と、消費者が自衛するために知っておくべきポイントを、公的機関の情報をもとに解説します。

公開: 2026-05-17更新: 2026/5/17
機能性表示食品の届出撤回事例から見える問題──消費者が知っておくべきリスク

はじめに──機能性表示食品とは何か

2015年4月にスタートした機能性表示食品制度は、事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示できる制度です。特定保健用食品(トクホ)のような国の審査は不要で、消費者庁への届出のみで「お腹の調子を整える」「血圧が高めの方に」といった機能性を商品パッケージに表示できます。

しかし、この制度には大きな特徴があります。届出された内容について、消費者庁が「科学的根拠の妥当性」を審査・認証しているわけではないという点です。あくまで届出情報を受理し、公開しているに過ぎません。

この仕組みが、後に多くの届出撤回や問題事例を生む一因となっています。


届出撤回とは何か──その実態

機能性表示食品の届出は、事業者自身の判断で撤回することができます。消費者庁の「機能性表示食品の届出情報検索」で公開されている情報によれば、制度開始から2024年までの間に数百件以上の届出が撤回されています。

撤回理由は様々ですが、主に以下のようなものがあります。

  • 科学的根拠の再検証で問題が判明した
  • 販売を終了した・販売計画がなくなった
  • 行政指導を受けた、または指摘を受ける前に自主撤回した
  • 届出内容に誤りがあった

特に問題なのは、すでに市場で販売されていた商品が、後から「根拠不十分」を理由に撤回されるケースです。消費者は「届出済み」という表示を信頼して購入していたにもかかわらず、実際にはその根拠が揺らいでいたことになります。

<div class="callout-warn"> <div class="callout-title">撤回されても消費者には通知されない</div>

届出が撤回されても、すでに購入した消費者に個別連絡が届くわけではありません。店頭やネット上に在庫が残っていることもあり、撤回後も気づかずに購入してしまう可能性があります。

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過去の問題事例──消費者庁の対応から

科学的根拠の不備が指摘された事例

消費者庁は定期的に機能性表示食品の届出内容を検証し、問題がある場合には事業者に指摘を行っています。

2020年以降、消費者庁は届出資料の事後チェックを強化しており、その結果として根拠論文の質の低さ、研究レビューの方法論的問題、機能性関与成分の同等性が示されていないといった指摘が相次ぎました。

例えば、消費者庁の公表資料によれば、

  • 引用されている臨床試験の被験者数が極端に少ない
  • 統計的有意差が認められていない試験結果を根拠としている
  • 原材料の変更により、届出時の根拠が適用できなくなっている

といった問題が指摘されています。

これらの指摘を受けて自主撤回に至るケースが多く、消費者が「問題があった」と知る機会は限られています

2024年の紅麹サプリメント問題との関連

2024年に社会問題となった紅麹を含むサプリメントによる健康被害は、機能性表示食品制度そのものの問題点を浮き彫りにしました。

厚生労働省・消費者庁の発表によれば、当該製品は機能性表示食品として届出されていましたが、製造過程で想定外の成分が混入した可能性が指摘されています。この事例は、届出制度が「製品の安全性」を担保するものではないことを改めて示しました。

<div class="callout-tip"> <div class="callout-title">機能性表示食品の「限界」を理解する</div>

機能性表示食品は「届出」であり「審査・認可」ではありません。科学的根拠の妥当性も、製品の安全性も、最終的には事業者の責任に委ねられています。消費者はこの制度の限界を理解した上で、購入判断を行う必要があります。

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法的な位置づけと消費者保護の課題

機能性表示食品の法的根拠

機能性表示食品制度は、食品表示法および食品表示基準(内閣府令)に基づいています。同基準では、事業者が科学的根拠を届け出ることで機能性を表示できると定められています。

しかし、届出内容に虚偽や誇大な表現がある場合は、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)の「優良誤認表示」に該当する可能性があります。

景品表示法 第5条第1号 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示す表示

消費者庁は、科学的根拠が不十分な表示に対して措置命令を出すことができ、実際に機能性表示食品に対する措置命令も行われています。

健康増進法による規制

また、健康増進法第65条では、健康保持増進効果等について「著しく事実に相違する表示」や「著しく人を誤認させる表示」を禁止しています。機能性表示食品であっても、この規制の対象となります。


消費者が自衛するためのポイント

機能性表示食品を購入する際、消費者自身が注意すべき点をまとめます。

1. 消費者庁の届出データベースを確認する

消費者庁は「機能性表示食品の届出情報検索」をウェブサイトで公開しています。ここで、

  • 届出が有効かどうか(撤回されていないか)
  • どのような科学的根拠が示されているか
  • 届出者の連絡先

を確認することができます。購入前に一度検索してみることを推奨します

2. 「届出済み」と「審査済み」は違う

商品パッケージの「届出番号」や「届出表示」は、国が効果を認めたものではありません。あくまで事業者が届け出た内容が公開されているに過ぎない点を忘れないでください。

3. 過度な期待を持たない

機能性表示食品の機能性は、健康な方を対象に、日常生活の中で期待できる穏やかな作用を指しています。医薬品のような治療効果や、劇的な変化を期待するものではありません。

4. 体調に異変を感じたら使用を中止し相談する

万が一、摂取後に体調不良を感じた場合は、すぐに使用を中止し、医療機関を受診してください。また、消費者ホットライン「188」に電話すれば、最寄りの消費生活センターに相談できます。

<div class="callout-tip"> <div class="callout-title">困ったときは「188」へ</div>

消費者ホットライン「188(いやや)」は、消費生活に関する相談窓口の総合案内です。商品のトラブル、契約に関する疑問など、一人で悩まず相談してください。

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制度改正の動きと今後の課題

2024年の紅麹問題を受けて、消費者庁および厚生労働省は機能性表示食品制度の見直しに着手しています。

報道や消費者庁の検討会資料によれば、

  • 健康被害情報の報告義務化
  • 届出後の監視・検証体制の強化
  • 撤回情報の消費者への周知方法の改善

などが検討されています。

しかし、制度が改善されるまでの間、消費者自身が情報を収集し、慎重に判断する姿勢が求められます。


おわりに

機能性表示食品は、消費者にとって選択肢を広げる制度である一方、「届出」という仕組みの限界を理解しておく必要があります。届出撤回が相次ぐ現状は、制度が万能ではないことを示しています。

本コラムの内容は、医療・法律相談の代替となるものではありません。具体的な健康上の問題や契約トラブルについては、医療機関、弁護士、消費生活センターなどの専門機関にご相談ください。


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